あれは9月頭のこと。
散歩の途中、紫色の小さな花を見つけた。
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咲き始めで、下の方にぽつぽつ咲いてるだけ。

満開は下から上まで全部咲くのかと楽しみにしつつ、散歩をさぼって、二週後。
下の方の花は風に落ち、真ん中らへんが鮮やかに。

赤紫から青紫へ変わった花は、地面にたくさん散っていた。

この蔓性の花、すごい生命力。
その蔓は、木の上や野原に生い茂っていた。

鮮やかな赤紫に、近づけばふわ~っと香る。

ジャスミンほどは強くないけれど、ほんのり甘い匂い。
これ何の花? 調べてみたら、葛の花。
これがそうだったのか!
と思った瞬間、小説「からくりからくさ」のシーンが鮮やかによみがえった。
蓉子たちが葛の花を摘むあの場面。そして、妖しい甘さ、「官能的でさえある」葛の花のお茶。
ああ、こういう瞬間の香りや色って、昔読んだ物語とリンクするんだな。
ふと現実に戻ると、下の方の花はもう豆になっていた。

紫の花のひとつひとつが豆になるなんて、ちょっとびっくり。
そして10月に入ったいまは、すっかり豆。
これだけ見てたら、あの鮮やかな色と香りは想像できないな。

葛の花に気づいて、好きだった物語を思い出せた秋でした。
